このブログ記事では、中学3年生とのコーチングセッションの一部をご紹介します。
進路に対する不安や自分を大切にすることについての対話を通じて、どのように自分を理解し、自己肯定感を高めていくかについて考えていきます。
中学生は進路や将来について悩む時期であり、その中で自分を大切にしながら、前向きに進んでいくためのヒントを提供できる内容となっています。

「なんとなく」やりたいことはある
私:「今日はどんなことをお話したいですか?」
Tくん:「今日は、将来の進路について悩んでいて、どうしていいかわからなくて不安なんです。どうしたらいいかアドバイスをもらえますか?」
私:進路かー、悩むよね。何が一番不安なの?
Tくん:「はい、進路についてはすごく悩んでます。特に、自分が何をやりたいのかがまだはっきりしなくて、みんながどんどん決めていく中で、私はまだ決まっていないことが不安なんです。」
私:みんなに遅れをとっている感じがして不安なんだね。
はっきりしてなくてもなんとなくは、やりたいことがあるの?
Tくん:「うーん、なんとなくはあるんですけど、具体的にはわからないんです。たとえば、人と話すのが好きだから、誰かの役に立てる仕事をしたいなって思うんですが、具体的にどんな仕事なのかはよくわからなくて…。」
私:いいね。人と話すことが好きなんだ。
人と話すことと誰かの役に立つことはどうつながるの?
Tくん:「そうですね、なんとなくですけど、人と話しているときに、相手が元気になったり、助けられたって言ってくれるとすごく嬉しくて、そういうふうに人を助けられる仕事がしたいなって思うんです。でも、どんな職業でそれを実現できるのか、まだわからなくて…。」
私:そんなんだ。人と話すことが好きっていうのは、話すことで相手の人に感謝されるのが好きっていう感じなのかな・
Tくん:「はい、まさにそれです!話していると、相手が嬉しそうにしてくれたり、ありがとうって言ってくれると、すごくやりがいを感じるんです。だから、そういうふうに人を助けられる仕事ができたらいいなと思ってます。」
自分の存在の肯定
私:いいね。ありがとうって言ってもらうことはTくんにとってどんな意味のあることなの?
Tくん:「ありがとうって言ってもらうことは、自分が誰かの役に立てたって感じる瞬間なんです。それが自分の存在を肯定してくれるような気がして、もっと頑張ろうって思えるんです。自分が他の人にとって大切な存在だって感じることが、すごく嬉しいんです。」
私:そうなんだ。誰かの役に立つことで自分の存在を肯定しているんだ。
ちょっと踏み込んだ質問をするよ。
今の話だとTくんは誰かの役に立っていないと自分の存在を肯定できないってことになるよ?
Tくん:「うーん、それを言われると、ちょっとドキッとしますね…。確かに、誰かに感謝されると自分の存在を感じられるけど、もしかしたらそれだけじゃダメだって思う時もあるかもしれません。誰かの役に立っていると感じられないと、自己肯定感が低くなる時もあるかもしれません。」
私:どうしてこの質問をしたかというと、自分で自分の存在を肯定できることが一番いいなって思ったからなんだよ。私も他人と比較したり、人の目を気にして生きてきたからさ。そのときは、自分以外の誰かと比べて存在を肯定してたんだよ。しんどかったなー。Tくんは考える、存在を証明することってどういうことだろう?
Tくん:「なるほど…自分で自分を肯定できることが一番大事なんですね。考えてみると、誰かと比べて存在を証明しようとするのって、すごく疲れることだと思います。僕も、何か成果を出して他の人に認められないと、自分の価値がわからない気がしてしまうことがあるかもしれません。
存在を証明することって、もしかしたら、自分が自分でいることに自信を持つことじゃないかなって思います。人と比べるのではなく、自分がどんな人間かを理解して、それを大事にすることが一番大切なんじゃないかなって感じます。」
自分を大切にすること①
私:「自分がどんな人間かを理解して、それを大事にすることが一番大切」いい言葉だね。今、Tくんは、自分を大切できてる?
Tくん:「うーん、正直に言うと、まだ完全にはできてないと思います。自分のことを大切にしようって思っても、他の人と比べたり、周りの期待に応えようとしたりして、どこか自分を後回しにしてしまうことが多いです。でも、こうやって考えることができるようになったのは、少しずつ自分を大切にすることを意識し始めたからだと思います。」
私:Tくんが思う、自分を大切にするってどんなこと?
Tくん:「自分を大切にするって、まずは自分の気持ちや考えをちゃんと聞いてあげることかなって思います。他の人の期待や意見も大事だけど、自分が本当にやりたいことや感じていることを大切にすること。それに、無理に他の人と比べないで、自分のペースで進むことが自分を大切にすることなんじゃないかなと思います。」
私:いいね。最初に、「自分が何をやりたいのかがまだはっきりしなくて、みんながどんどん決めていく中で、私はまだ決まっていないことが不安なんです。」って言ってたよね?この不安についてはどう思う?
Tくん:「はい、最初に言ってた不安についてですが、今思うと、みんなが決めていく中で自分だけ決められていないことが、すごく焦りや不安に感じていたんだと思います。でも、今考えると、それって急いで決めなくてもいいことだなって感じてきました。自分のペースで少しずつ考えながら決めていけば、焦らなくてもいいんじゃないかって。まだ決まってなくても、これからの経験を通じて自分が何をやりたいのかが見えてくるのかなって思うようになりました。」
私:そうだね。少し楽になった?
Tくん:「はい、少し楽になった気がします。焦って決めなきゃって思っていたけど、今は自分のペースで考えてもいいんだなって思えるようになりました。自分がやりたいことが見つかるまで、焦らずにいろいろな経験をしていこうと思います。」
私:いいね。改めて聞くけど、この後の時間は何について話たい?
Tくん:「今日は、進路のことや自分の考えについていろいろ話して、少し整理できた気がします。だから、もしよければ、これからどんなふうに自分を大切にするか、もっと深く考えてみたいです。」
自分を大切にすること②
私:どんなふうに自分を大切にするかだね。これまでに自分を大切にできたなと思えた経験はある?
Tくん:「うん、あります。たとえば、周りが部活とかで忙しくしてるときに、無理にみんなに合わせないで、自分は自分のペースで休んだり、好きなことをする時間を取ったことがありました。そのときは、ちょっと罪悪感もあったけど、後から振り返ると『あのとき、自分の気持ちをちゃんと大事にできたな』って思えたんです。」
私:そうなんだね。他にはどんな時に自分を大切にできた?
Tくん:「他には、友達に無理に合わせて遊びに行こうって誘われたときに、本当は疲れてたから『今日はやめとくね』ってちゃんと断れたときがありました。前だったら無理して行ってたと思うんですけど、そのときは自分の体調とか気持ちを優先できたから、あとですごくホッとしたんです。」
私:自分を大切にできた経験がたくさんあるね。今のTくんの状態を数値で表すと何%くらいだろう?自分を大切にできているなって思う状態を100%としたときに。
Tくん:「うーん、今の自分だったら…60%くらいかなって思います。前よりはだいぶ自分を大切にできるようになったけど、まだ周りに合わせすぎたり、自分の本当の気持ちを後回しにしちゃうこともあるから、あと少し頑張りたいなって感じです。」
私:60%なんだね。60%にできてる要因はなんだろう?
Tくん:「そうですね…。60%までできているのは、たぶん、少しずつでも自分の気持ちに気づけるようになったことが大きいと思います。前は無理して周りに合わせるのが当たり前だったけど、『本当はどうしたいんだろう?』って自分に問いかけるクセが少しついてきたから、自分を大切にできる場面が増えてきたんだと思います。」
私:いいね。『本当はどうしたいんだろう?』って自分に問いかけるクセをつけているんだね。何かきっかけがあったの?
Tくん:「はい、実はちょっとしたきっかけがあって…。前に無理して頑張りすぎたときに、すごく疲れてしまって、しんどくなったことがあったんです。そのときに、『あれ?これって本当に自分がやりたかったことだったのかな?』って初めてちゃんと考えて。それから、自分の気持ちを無視しすぎるとつらくなるんだって気づいて、少しずつ『本当はどうしたい?』って自分に聞くようになりました。」
私:そうなんだね。自分をコーチしてる感じだね。
今の60%の状態を70%にするにはどうしたらいいと思う?
Tくん:「うん、たしかにちょっと自分をコーチしてるみたいかもですね!
70%にするには、たぶん、もっと小さいことでも自分の気持ちをちゃんと大事にすることかなって思います。たとえば、友達に誘われたときとか、何かを選ぶときに、ちょっとでも『どうしたい?』って立ち止まって考えるクセをもっと強くしていきたいです。あと、自分が選んだことを『これでよかった』って認めてあげることも大事だなって思います。」
私:いいね。自分が選んだことを認めてあげるのに何か工夫できることはありそう?
Tくん:「うーん、工夫するとしたら、たとえば、一日の終わりに『今日、自分の気持ちを大事にできたこと』をひとつでも書き出してみるとかどうかなって思います。小さいことでも『これでよかった』って振り返る時間を作れば、少しずつ自分の選択に自信が持てるようになる気がします。」
私:いいね。反対に障壁になりそうなことはある?
Tくん:「たぶん、周りの目を気にしすぎることが一番の障壁になると思います。周りがどう思うかなとか、みんなに合わせたほうがいいかなって考えすぎると、自分の気持ちよりも周りを優先しちゃいそうで…。それが続くと、また自分の選択に自信が持てなくなりそうな気がします。」
私:周りを優先できることはTくんの個性だし、すごいことだよ。
でも、それが続くと、しんどくなったり、自信がもてなくなるんだね。
自分を大切にできていないって思っちゃうんだ。
周りの目を気にしすぎないためにはどうしたらいいと思う?
Tくん:「うん、たしかに…。周りを気にできるのはいいことだけど、自分を置いてきぼりにしちゃうと苦しくなるんですよね。
周りの目を気にしすぎないためには、『相手の期待に応えること』と『自分の気持ちを大事にすること』は別のものだってちゃんと分けて考えることが大事かなって思います。それに、全部の人に好かれなくても、自分を大事にしてる自分を好きでいてくれる人がきっといるって信じることも大切だなって感じます。」
私:いいね。今以上に自分を大切にできそうな感じする?
Tくん:「うん、少しずつ自分を大切にすることができるかもしれないって感じてきました。自分の気持ちをもっと大事にして、周りの期待に振り回されないように意識することで、少しずつ自分に自信を持てるようになるんじゃないかなって思います。」
私:Tくんなら大丈夫だよ。
ここからは提案なんだけど、「将来やりたいこと」をもう一度、考えてみない?
今のTくんなら、見つけられる気がするんだよね。
Tくん:「ありがとうございます、そう言ってもらえるとすごく勇気が出ます!
『将来やりたいこと』、もう一度考えてみるのはいいかもしれませんね。自分の気持ちを大事にしながら、もっと自分の好きなことや興味があることを見つけていきたいなと思います。ちょっと考えてみます!」
私:そうだね。このあとまだ時間あるなら、進めようか。
時間ぎれになっちゃったら、次回にやろう。
将来、やりたいこと
Tくん:「時間がまだあるので、進めてみたいです!今の自分で、将来やりたいことを少しでも見つけられたらうれしいです。」
私:了解!
じゃあ、改めて質問するよ。
将来何をやりたい?
Tくん:「うーん、改めて考えると、やっぱり人と話すことが好きだし、誰かの役に立ちたいという気持ちは変わらないです。だから、もっと具体的に言うと、カウンセラーやコーチみたいな仕事が向いているのかなと思います。人の話を聞いて、その人が自分で答えを見つける手助けをするような仕事に興味があるかもしれません。」
私:いいね。私と同じ仕事だね。何年後かに一緒にやってるかもね。
どうしてカウンセラーやコーチがでてきたの?
Tくん:「それ、すごく楽しそうですね!一緒にやってるかもって思うとワクワクします。カウンセラーやコーチが浮かんできたのは、さっき話したように、人と話してその人が前向きになったり、自分を見つける手助けをするのが好きだからです。自分も誰かにサポートしてもらったことで、すごく楽になったことがあって、そういう経験があったから、今度は自分が誰かをサポートしたいって思うようになったんです。」
私:いいね。今、中学3年生だよね?ここまで明確になっている子はあんまりいないんじゃないかなー
Tくん:「ありがとうございます!そう言ってもらえると、少し自信が持てます。実際、自分でもまだ完全に決まったわけじゃないけど、こうやって考えることで少しずつ見えてきた気がします。周りの子たちはまだ悩んでいる子が多いけど、自分の気持ちに素直になって、少しずつ進んでいこうと思います!」
私:そうだね。進路は、今、明確になっているものを実現するための過程だと思うと考えやすいかな。
Tくん:「なるほど!進路って、ただのゴールじゃなくて、目標に向かって進んでいく過程なんですね。今はまだ具体的じゃなくても、少しずつ自分のやりたいことに近づいていけるんだなって思えました。そう考えると、あまり焦らずに進んでいける気がします!」
私:いいね。中学校卒業したらどうしたい?
Tくん:「中学校を卒業したら、まずはもっと自分を深く知るためにいろいろなことに挑戦してみたいです。たとえば、ボランティア活動とか、カウンセリングの勉強をしてみるとか。自分の興味を広げつつ、やりたいことに向かって一歩ずつ進んでいきたいなと思っています。そして、高校でも自分のペースで学びながら、将来の仕事に繋がる経験を積んでいけたらいいなと思います。」
私:いいね。進学してみたい高校のイメージはできた?
Tくん:「進学したい高校のイメージ、だいぶできてきました!自分がやりたいことや興味を深められるような学校がいいなと思っていて、たとえば、人と関わることができる活動が多い学校や、カウンセリングや心理学を学べる環境がある学校がいいかなと思います。できれば、少人数での授業や、仲間と一緒に成長できるような場所が理想です。」
私:いいね。今日の最初に言ってくれた不安については今、どう思ってる?
Tくん:「最初に言った不安、みんなが決めていく中で自分だけ決まっていないことが不安だなと思っていたんですけど、今は少し気持ちが楽になりました。進路って、急いで決めるものじゃなくて、自分のペースで少しずつ進んでいけばいいんだって思えるようになりました。だから、焦らずに、自分がやりたいことをじっくり考えていけば大丈夫だなって感じています。」
私:いいね。今日のセッションはここまでなんだけど、何か感じたことや気づいたことはある?
Tくん:「今日は自分の進路や将来について、すごく深く考えられた気がします。自分がやりたいことや興味があることが少しずつ明確になってきて、自分を大切にしながら進んでいく大切さも再確認できました。あとは、周りの目を気にしすぎることが自分の障壁になっていることにも気づけて、少しずつ自分のペースで進む勇気が湧いてきました。とても有意義な時間でした!」
私:よかった。今日の話、ご両親や先生にも伝えてみて。
また、1ヶ月のセッションでその後どうだったか、聞かせて。
Tくん:「はい、今日の話はぜひ両親にも伝えてみます!自分の気持ちや考えをもっと大切にしていきたいと思うので、伝えることで自分の成長を感じられると思います。1ヶ月後にまたお願いいたします。そのときにどう変わっているか楽しみです。今日は本当にありがとうございました!」
私:こちらこそありがとう!
自分の気持ちを大事に
今回のコーチングセッションを通じて、進路や自分を大切にすることについて深く考え、自己理解を深めることができたようです。進路の不安も、自分自身の気持ちを優先することで、少しずつ前向きに進んでいけるという意識が芽生えました。中学生が自分を大切にしながら進んでいくために大切なことは、他人と比較することなく、自分の気持ちを大事にし、自分のペースで進んでいくことだと感じました。この記事が、同じように進路や自己理解について悩む中学生や保護者にとって、少しでもヒントになれば幸いです。
ご案内:コーチングにご興味のある方へ
もし、この記事を読んで
・「うちの子も、こんなふうに悩んでいるかもしれない」
・「もっと子どもと深く向き合いたい」
・「誰かに話を聴いてもらいたい」
そう感じた方がいらっしゃいましたら、
ぜひ一度、大仏コーチングのセッションを体験してみてください。
おすすめは「半年間コース」です 。
子どもたちは、自分のペースで、自分の力で変わることができます。
その「一歩」を、一緒に応援できたら嬉しいです。