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【自分に自信が持てない】中学3年生とのコーチングセッション

「どうせ俺なんか無理ですよ」

中学3年生の春。初めてのコーチングで、彼は俯いたままそう言いました。
その目には、自分をあきらめたような静かな絶望がありました。

今回ご紹介するのは、ある中学3年生の男の子と、半年間にわたって継続したコーチングセッションの記録です。
「自分に自信がない」「他人と比べて落ち込む」という悩みから始まったこの対話は、

やがて彼自身が「自分を信じる力」に目覚めていく過程そのものでした。

【前半】「どうせ俺なんか無理ですよ」

最初に彼と話したとき、彼はうつむきながらぼそっとこう言いました。
「どうせ俺なんか、何やってもダメっすよ。」
中学3年生のSくん。
クラスでも目立つタイプではなく、どちらかというと空気を読んで行動する、静かな男の子です。
何を聞いても、「別に」「無理」「俺なんか」と自己否定の言葉が返ってくる。
自信を持てないどころか、自分自身をあきらめてしまっているような印象がありました。
私は、すぐに「そんなことないよ」と否定するのではなく、
彼の言葉の奥にある気持ちをゆっくりと聴いていくことにしました。

「どうせ頑張ったって意味ないし」

セッションを重ねる中で、彼は少しずつ、本音を語るようになりました。
「小学校のとき、何回もリレーの選手に落ちたんですよ。
頑張っても、結局ダメだったから…。
それから、何やっても無理って思うようになったんです。」
過去の経験が、彼の心に深く傷を残していたのです。
頑張ったのにうまくいかなかった痛み。
期待したぶんだけ、裏切られたような悲しみ。
そして彼は、傷つかないために、
「最初から期待しない」「どうせ無理」と自分に言い聞かせるようになっていました。
私は彼に、こう問いかけました。
私:「Sくん、頑張ってもうまくいかないとき、どんな気持ちになる?」
Sくん:「……悔しいし、恥ずかしいっす。
“アイツ、またダメだったな”って思われるのが怖いです。」
彼は、失敗することよりも、「人からどう見られるか」をとても怖れていたのです。

自己肯定感の低下の裏にある「人との比較」

Sくんは、こうも話してくれました。
「テストでも、部活でも、
いつも誰かと比べられてる気がするんですよ。
“あいつより成績いい?”とか、“誰がレギュラー取るか”とか。
だから、俺なんかが頑張ったって意味ないって思うんです。」
彼の“自己肯定感の低下”の背景には、
「常に誰かと比較される環境」がありました。
中学生という多感な時期は、周りと比べられることが多くなります。
友達同士の成績、運動能力、見た目、性格…。
そのたびに、「俺なんて」と思う気持ちは、少しずつ心をむしばんでいきます。
でも、彼は本当は、誰かと競いたいわけじゃなかった。
「自分自身を認めたかった」だけだったのです。

「ちょっとだけ、頑張ったことってある?」

セッションを重ねる中で、私は彼にこんな質問をしました。
私:「最近、“ちょっとだけ頑張ったな”って思えること、何かある?」
Sくん:「……(沈黙)
あ、でもこの前、体育の授業でリレーあったんですけど、
バトン、ちゃんとつなげました。」
それは、誰からも褒められなかったかもしれない。
記録が特別よかったわけでもない。
でも彼にとって、「バトンをつなげた」という小さな達成感は、確かに存在していました。
私はその瞬間を、大事に扱いました。
私:「すごい!
プレッシャーの中で、バトン落とさずにつなげたって、簡単じゃないよ。」
Sくん:「……うん。
めっちゃ緊張したけど、ミスらなかったのは、ちょっと嬉しかったです。」
彼の表情が、ほんの少し、柔らかくなりました。

小さな成功体験を、積み重ねる

「自己肯定感」という言葉は、とても大きく聞こえます。
でも、回復のスタート地点は、こんなふうに「小さな成功体験」なのです。
・バトンをつなげたこと
・先生に提出物を出せたこと
・友達に「ありがとう」って言えたこと
一見すると些細なことでも、
それを自分で「できた」と認めることが、
自己肯定感を取り戻す最初の一歩になります。

【前半まとめ】

Sくんは、最初は「俺なんか」と自分を否定していました。
でも、丁寧に心を聴いていく中で、
・過去の失敗体験
・人との比較
・失敗への怖れ
そうしたものが、彼の自己肯定感を下げていたことが見えてきました。
そして、
「ちょっと頑張ったこと」に目を向けることで、
彼は少しずつ、「自分も悪くないかも」と思えるようになり始めたのです。

【後半】「俺、もうちょっと頑張ってみようかな」——半年間のコーチングの変化

Sくんとのコーチングは、その後も続きました。

「少しだけ頑張る」を続けた日々

彼と取り組んだのは、大きな目標ではなく、「少しだけ頑張ること」。
たとえば…
・毎朝、家を出る前に深呼吸してみる
・授業中に一回だけ手を挙げてみる
・苦手な子にも自分から挨拶してみる
どれも、すごく小さなチャレンジです。
でも、Sくんにとっては、どれも勇気が必要な一歩でした。
セッションのたびに、
「できたこと」「頑張れたこと」「ちょっと嬉しかったこと」を言葉にしていきました。
最初は「別に…」と言っていた彼も、
回を重ねるうちに、こんなふうに話してくれるようになりました。
「この前、クラスの女子に“ありがとう”って言われたんです。
俺、ちょっとだけ嬉しかったっす。」
「漢字テスト、前より点数上がったんです。」
「部活で後輩に教えてって言われたんです。」
それは、他人から見たら小さな変化かもしれません。
でも、Sくん自身の中では、「俺も、ちょっとだけ役に立てた」「頑張ったら変わるかも」という手応えが、確実に育っていったのです。

自分との約束を守ること

コーチングでは、
「自分との小さな約束を守る」ということも、大切にしました。
たとえば、こんなふうに。
私:「今週、Sくんが自分と約束したいことは何?」
Sくん:「……給食のとき、隣の人に一回は話しかけるようにします。」
私:「いいね。じゃあ、それを達成できたら、自分にどんなごほうびをあげたい?」
Sくん:「うーん……。
そしたら、帰りにコンビニ寄って、アイス買ってもいいっすか?」
私:「最高じゃん!それ、ごほうびにしよう。」
こうして、
自分で決めた小さな目標を、自分で達成し、
自分を自分で認める。
この積み重ねが、
「どうせ俺なんか」という無力感を、少しずつ溶かしていきました。

「できるかどうか」より「やってみたいかどうか」

あるとき、Sくんがこんなことを話してくれました。
「前は、できるかどうかだけで考えてたんです。
無理そうだったら、最初からあきらめてた。
でも今は、できるかできないかより、
“ちょっとやってみたいかどうか”で決めてもいいんだって思えるようになったんです。」
これは、ものすごい変化でした。
自己肯定感が低いとき、人は「失敗したらどうしよう」と怖れて、
「絶対に成功できること」しか選べなくなります。
でも本当は、
「やってみたい」と思う気持ちがあります。
Sくんは、半年間のコーチングを通して、
「失敗しても大丈夫」「やってみたい自分を認めてもいい」
そんな新しい感覚を、手に入れたのです。

進路選びにも、自分の気持ちを大事にできた

そして進路を決める時期。
Sくんは、親や先生から「成績に合った高校」をすすめられていましたが、
本当は少し離れた場所にある、スポーツに力を入れている高校に興味を持っていました。
でも、Sくんは最初、こう言っていました。
「俺なんか行っても、周りに迷惑かけるかもしれないし…。
成績もギリギリだし、あきらめたほうがいいですよね。」
私は、彼にゆっくりと問いかけました。
私:「Sくんは、どっちの高校に行ってみたい?」
Sくん:「……本当は、スポーツのほうです。
バスケ、もっとうまくなりたいっす。」
私:「それ、すごく大事な気持ちだね。
やってみたいって思う自分、応援してあげたいな。」
その後、彼は勇気を出して、自分の希望を親に伝えました。
最初は驚かれましたが、最終的には「そこまで思うなら応援するよ」と言ってもらえたそうです。
試験もギリギリまでがんばり、
Sくんは見事、第一志望の高校に合格することができました。

小さな一歩が、自信につながる

多くの中学生は、自分の魅力や力に気づいていません。
でも、大人が少し立ち止まり、話を聴き、問いかけるだけで、
その子の中にある光が見えてくるのです。
私はこれからも、コーチングを通じて
「他人と比べる子どもたちが、“自分を生きる力”に目覚める」
そんな瞬間を、たくさん支えていきたいと思っています。

【あなたも、半年後には「変わったね」と言われるかもしれません】

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