いつも子どもたちのために考え、悩み、そして関わってくださっている親御さん・先生方へ、
心からの感謝を込めて、この文章をお届けします。
学校や家庭の中で、子どもたちを支えているあなたの存在は、
目には見えにくくても、子どもたちにとって確かな“安心”の土台になっています。
私は中学生へのコーチングを通じて、これまでたくさんの生徒、そしてその親御さん・先生方と関わってきました。
その中で感じるのは、どの子にも“自分を分かってほしい”という願いがあるということ。
そして、どの大人にも“この子を何とかしてあげたい”という優しさがあるということです。
けれど、その想いがすれ違うことがあります。
親は「頑張ってほしい」と思う。
でも子どもは「もう頑張ってる」と感じている。
先生は「もっとできる」と信じている。
でも子どもは「どうせできない」と思い込んでいる。
そのすれ違いが重なって、「この子、変わらないな」と感じてしまうことがあります。
でも本当にそうでしょうか?
私は、子どもが“変わらない”のではなく、“守っている”のだと思っています。

子どもは「変わらない」のではなく、「守っている」
中学生と話していると、こんな言葉をよく聞きます。
「怒られるのがイヤだから黙ってるだけです」
「どうせわかってもらえないと思ってます」
「話しても意味ないし…」
これらの言葉の裏には、“自分を守るための壁”があります。
その壁は、反抗ではなく、防御。
大人から見れば「無気力」「生意気」「反応が薄い」と見えるその態度は、
子どもにとっては“生きるためのバランス”なんです。
たとえば、学校で叱られたとき、
「反省してる?」と聞かれても「別に」と返す。
でも本当は、「反省してる」と言ったら、“また何か言われる気がする”と感じているだけ。
この“心の安全スイッチ”を押してあげるのが、私たち大人の役割です。
そのために必要なのは、「変わらない」と決めつける視点から、「守っている」と理解する視点への転換。
これだけで、関わり方がまるで違ってきます。
「問いかけ」が中学生の世界を広げる
多くの大人がつい口にしてしまう質問があります。
「なんでできないの?」
「どうしてそうなるの?」
「また同じことしてるじゃない!」
その言葉の根底には、愛があります。
心配している。どうにかしたい。良くなってほしい。
でも、子どもからすれば、“責められたように感じる”瞬間です。
子どもたちは「正解のない問い」を投げかけられると、自分で考え始めます。
コーチングの現場でも、「なんで?」の代わりに「どんなことがあったの?」と聞くだけで、
一言もしゃべらなかった子が、少しずつ話し始めることがあります。
子どもの心は、問い方ひとつで開く。
たった数文字の違いが、関係性を変えていくのです。
「自己理解」が中学生の未来を変える
私は、自己理解こそが“中学生の人生を支える根っこ”だと思っています。
自己理解とは、「自分を正しく見つめる力」。
得意・不得意、好き・嫌い、強み・弱み──それらを知ることが、
子どもたちが“自分の人生を選べる力”を育てます。
今の時代は、情報が多く、選択肢も多い。
だからこそ、“自分を理解していないと流されてしまう”。
ある中学3年生の男の子がいました。
「将来、何になりたい?」と聞くと、「わかんない」と答える。
でも、対話を重ねていくうちに、彼の口から出てきた言葉はこうでした。
「人を助ける仕事がしたい」
“わからない”のではなく、“言葉にできていなかっただけ”。
自己理解は、「自分の気持ちを見える化する力」です。
そこに気づけた瞬間、彼の表情は明らかに変わりました。
大人の“思い込み”が変わると、関係が動き出す
コーチングでは、子どもを変えようとする前に、
まず“大人の思い込み”を見直します。
「この子はやる気がない」
→ 実は“やる気の出し方がわからない”だけかもしれない。
「話を聞かない」
→ 実は“聞かれていない”と感じているだけかもしれない。
「反抗的」
→ 実は“自分の意見を持てるようになった”成長のサインかもしれない。
子どもを“問題”として見るか、“可能性”として見るかで、
関わり方のエネルギーがまるで変わります。
親御さんがため息をつきながらも、
「この子には無限の可能性がある」と思えたとき、
そのまなざしこそが、子どもを一歩前に進ませる力になります。
「信じる力」が子どもの自信を育てる
コーチングで感じるのは、
**“信じてくれる大人がいる子どもは、強い”**ということ。
ある女の子は、「何をやっても中途半端」と自分を責めていました。
でも、セッションの中で私はこう伝えました。
「途中でやめたのは、中途半端じゃない。自分で“違う”と気づけた証拠だよ。」
その言葉をきっかけに、彼女は少しずつ前向きに行動を始めました。
“信じてもらえた経験”は、心に残ります。
たとえ結果が出なくても、
「あなたを見ているよ」「信じてるよ」という言葉が、
子どもの中に“自己信頼”という種を残すのです。
「親も先生も、もう十分頑張っている」
私はコーチングを通して、
親御さんや先生が“どれだけ真剣に子どもと向き合っているか”を日々感じています。
泣きたい夜もある。
「もう疲れた」と思うこともある。
でも、翌朝には笑顔を作って「行ってらっしゃい」と言う。
そんな大人たちの姿こそ、
子どもにとって“希望”そのものです。
完璧である必要はありません。
イライラしたり、うまくいかなかったりしても大丈夫。
その“葛藤する姿”が、子どもにとっての「生きる教科書」になります。
関係がうまくいかないときは、「感情」ではなく「意図」を見る
「何度言ってもわかってくれない」
「素直に話してくれない」
そんな時は、“感情”ではなく、“意図”を見てみましょう。
子どもの言葉の裏には、いつも「本音」が隠れています。
「うるさいな!」=(本当は)心配してくれてるのはわかってる
「別に」=(本当は)わかってほしいけど、どう言えばいいかわからない
感情の言葉ではなく、その奥にある意図に気づけると、
関係が一気にやわらぎます。
それが、“見方を変える力”=コーチング的関わりです。
自己理解を育てる“3つの質問”
私は中学生に自己理解を促すとき、次の3つの質問をよく使います。
1️⃣「最近うまくいったことは何?」
→ 成功体験を思い出すことで、自分の得意に気づく。
2️⃣「どんなときにイライラする?」
→ 大切にしている価値観が浮かび上がる。
3️⃣「どんな自分が好き?」
→ 自己受容の入り口になる。
この3つを親子で一緒に話すだけでも、関係が変わります。
子どもが“自分を語る力”を持つと、悩みは減り、可能性が広がります。
「対話」は“育てるもの”
よく「子どもと会話が続かない」と相談されます。
でも、私はこうお伝えします。
「会話は“するもの”ではなく、“育てるもの”です」
一度でうまくいかなくても、
小さな会話の積み重ねが、やがて信頼という大きな根っこになります。
最初は10秒でいいんです。
「今日どうだった?」ではなく、
「今日、一番笑ったのはどんなとき?」
その問いかけひとつで、空気が少しやわらぎます。
もしあなたが迷っているなら──
もし今、
「子どもとの関係に自信が持てない」
「頑張ってるのにうまくいかない」
そんな思いを抱えているなら、
それは“あなただけ”ではありません。
悩むということは、
それだけ真剣に向き合っているという証拠。
あなたが感じているその“もどかしさ”は、
子どもを想う心があるからこそ生まれるものです。
私の役割は、その想いを整理し、
「どうすれば伝わるか」を一緒に見つけていくこと。
コーチングは“答えを教える場所”ではなく、“気づきを引き出す時間”です。
最後に、心からの感謝とご案内
ここまで読んでくださった親御さん、先生方。
本当にありがとうございます。
あなたがこうして「子どもを理解したい」と思ってくださること。
それがすでに、子どもにとって何よりの支えです。
中学生の時期は、自己理解の芽が生まれる時期です。
でもその芽は、周りの大人が「どう関わるか」で伸び方がまるで違ってきます。
大人が焦らず、信じて、見守る。
その関わりが、子どもに“自分で生きる力”を育てます。
もしこの記事の中で、
「うちの子、まさにこれだ」と思う部分があったら、
一度ご相談ください。
私は、あなたの“想い”を一緒に整理し、
お子さんの“本当の声”を引き出すお手伝いをします。
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